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マンション管理組合の空き駐車場による収益事業について

マンション管理組合の空き駐車場による収益事業について

公共交通網の発達した都市部ではあまり車(自家用車)の必要性を感じていない方も多くおられると思いますが、近年、東京都心では分譲マンションを中心に駐車場の空きスペースが目立ってきています。

分譲マンションにおける駐車場の利用料は、当然ながら管理組合の収益となり、通常は修繕費に充てられます。つまり、この空きスペースの問題は管理組合ひいては住人にとって相当程度重要な事項だと云えます。最近では外部(区分所有者以外の者)へ貸し出すケースが増えており、今後もその傾向が続くと見られます。

これまではこうした行為に関して、一部のスペースのみ貸し出す場合でも駐車場すべてについて収益事業と見做され課税されるような事例もあったようですが、先頃、国土交通省からの照会に対し国税庁より正式に回答がありましたので簡単に紹介しておきます。詳細につきましては、「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)」を参照ください。

この国税庁の見解では、大きく3つのモデルケースに分けて収益事業に当たるかどうかを判定し、どこまでが課税対象となるかを検討しています。

[1]駐車場の利用者の募集を区分所有者(cf. 建物の区分所有等に関する法律)と外部者を分けずに広く実施するケース。

このケースは、区分所有者に対する優先性が見られず、実質的に市中の有料駐車場と同様の駐車場業を行なっていると考えられるため、全体が収益事業と判定され課税対象となります。

[2]区分所有者の希望がない場合にのみ外部に貸し出すなど、あくまで区分所有者が優先であって、仮に外部者が使用している場合でも区分所有者の希望があれば一定期間内に明け渡さなければならない条件があるケース。

このケースは、外部者に空きスペースを貸している部分についてのみ収益事業と認められ、課税対象となります。

[3]区分所有者の希望がないため空きスペースのままにしておく予定だったものの、近隣で工事を行なっている業者から短期的に駐車場を利用したいという申し出があったケース。

もうお分かりかと思いますが、このケースでの外部者への貸し出しはイレギュラーなものだと考えられるので、収益事業には該当せず、よって課税対象となりません。

このように具体的事例を挙げて説明されれば至極当然のことのように感じられますが、実際には国土交通省から照会があることからも曖昧に運用されてきたようです。マンション管理組合としては[2]のケースで運用するのが無難だと云えるでしょうか。いずれにしても収益事業が絡んでくるとなると、管理組合にもある程度の会計システムは必要となってくるかもしれません。

ところで、会計や税務の話から外れてもっと現実的なところでは、あまり外部者に空き駐車場を貸してしまうと、マンション敷地内への外部者の進入が常態化してしまう、という問題点が浮上してきます。そうしたセキュリティの問題への対策、例えばセキュリティシステムや警備員の配置などをひっくるめて、これを事業として行なう業者がどんどん出てくるかもしれません。

余談ですが日本駐車場開発【2353】は国税庁の見解を受けて「日本駐車場開発 分譲マンション駐車場の運営を積極展開」というプレスリリースを出しています。なぜこんなマイナー(?)な会社を知っているかと云うと、実はかつて株主だったことがあるのです。因みに、今の株価は当時とは桁が違いますので、おそらく株式分割でも行なったのだろうと推察されます。:)